カラフルな紙コップ

数年前のことです。思いがけず、突然に入院することになりました。

もちろん何の準備もしてありません。検査に行った病院から即入院となったので、荷物を取りに自宅に帰ることもできません。渡された書類にあるものを両親に取りに行ってもらい、バタバタとあわただしい入院となりました。

食器類のうち箸やコップは自分で用意してくださいとのことでした。トイレ以外はなるべくじっと寝ていてくださいと言われていたので、食器を洗うことができません。そこで使い捨ての割り箸やら紙コップを買ってきてもらいました。

とりあえずのことなので、100円均一で間に合わせの物を買ってもらいました。とてもありがたかったのですが、真っ白で愛想の無い紙コップはいかにも病人の持ち物で、ちょっとさみしいなと思っていました。

とにかくじっとしているので、時間はたくさんあります。ある時携帯電話の画面を眺めていると、通販でカラフルな紙コップを見つけたのです。

赤、緑、黄色と目が覚めるような色合いで、花や木や素敵なプリントがされたものもあります。今は紙コップもこんなにおしゃれなのですね。ひとパックにいろんな柄が混ざって入っているものもあり、見ているだけでわくわくしました。

さっそく両親に話すと、キレイなコップを探して届けてくれました。今思うと通販で携帯から注文すればよかったのですが、体が動かないとそんなことも思いつかなかったようです。

でもキレイな紙コップはうれしかった。今は病院も患者の快適さに心を配ってくれていてカーテンはピンクだし家具も木目になっており、さほど殺風景ということもないのですが、自分で選んで使えるものがあるのはとてもうれしいことなのです。

それになんといっても、単調な入院生活には食事が大きな楽しみになります。そのたびに不愛想な白いコップを使うより、カラフルな中から今日はどれを使おうかと考えるだけでもずいぶん気分が違いました。気持ちの贅沢とでも言うのでしょう。

それに紙コップはとても実用的でした。ベッドと仕切りを兼ねた物入れと小さな机だけで生活していますので、ちょっと何かを置いておきたいときには紙コップを使いました。使い終わったら気兼ねなく捨てられるのも良かったです。

再度の入院になったときは、選びに選んで好みの紙コップを用意しました。コップだけでなく、身の回りに置くものはぜんぶきちんと選びました。短い期間でしたが、なかなか快適に過ごせたのではないかと思っています。

小さな紙コップですが、それに元気をもらえることもあるのです。万一また入院となったら、通販で見つけたカラフルな紙コップを用意しようと思っています。